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ひとびと

2018.03.08

鹿野町在住 足立雅子さん

観劇に、ボランティアにと、すぐにかけつけてくれる心強いご近所サポーターです。

鳥の劇場の近所に住む足立雅子さんは、八頭町(鳥取県八頭郡)出身。1970年に鹿野町に嫁ぎ、2004年に定年を迎えるまで、鳥取市内の高校の図書館で働いていました。

毎朝6時半に家を出て、夕方以降に帰ってくる生活だったため、「仕事を辞めて初めて、鹿野の人やまちのことがわかるようになりました。退職したとき、私、まだ鹿野1年目ですと言っていたんです」と笑う足立さん。「主人は20年以上前に逝きましたし、姑の介護が終わって少し落ち着いたころに、こじか園(鳥取市立鹿野幼児センターこじか園)での読み聞かせを頼まれました。そこで鳥の劇場の話が出て、演劇を見に行ってみよう、ボランティアもしてみようと交流が始まりました」

そのころすでに、鹿野小学校の小学生を対象に、中庭などを使って演劇ワークショップを開いていた鳥の劇場。そこで足立さんたちが、こじか園での読み聞かせをお願いすると、快く引き受けてくれ、劇団員が園児たちの前で「三匹のやぎのがらがらどん」を演じて見せました。

原作は、3匹のヤギが草を求めて冒険に出かけるノルウェーの民話。最初はキョトンとしていた園児たちも、すぐにお話の世界に引き込まれ、「わあ、おもしろい!」と声を上げます。「おもしろい、楽しいと、子どもたちは目を輝かせて大喜びです。そのときの表情が強烈に印象に残っています」。以来、足立さんは鳥の劇場の活動に関わるようになり、劇団がこじか園や鹿野小学校と定期的に行う演劇ワークショップも手伝っています。

「最初は、私には話が難しくて、演劇はわけがわからんよと劇団の人に言ったこともあります」と笑います。同じ作品や、さまざまな題材の作品をいくつも見るうち、「だんだんと演劇に慣れてきて、話もわかるようになって、楽しくなっていきました」

作品を見た感想は、いつも率直に伝えるという足立さん。鳥の劇場の話をするときの弾むような声を聞いていると、劇団員との距離がとても近いことを感じます。

「地域の行事にいつも大勢で出てくれるので、鹿野の人たちは、劇団に親しみを持っています。劇団のほうから地域に溶けこんでくれて、とても良い関係が築けていますよ」。そう話すように、劇団員たちは、鳥の劇場の設立当初から鹿野町の行事に積極的に参加し、まちおこしにも協力しています。

それは演劇ワークショップなどではなく、劇場や舞台芸術とは無関係の地域のイベントです。旧鹿野小学校のグラウンドで開かれる鹿野地区民大運動会には劇団員が総出で参加し、町民が大切にしている鹿野まつりでは、地域の若者と一緒に神輿を担ぎ、山車を引きます。

「田舎なので、どうしても家に閉じこもりがちになるのですが、劇場が鹿野に来て、そういう人たちが出ていく場所や機会が増えました。そとから人が来ると、まちがにぎやかになります。鳥の演劇祭が始まって、昔はほとんどなかったカフェができたり、店が増えたり、地域が活性化されてよかった。演劇祭や公演のボランティアも、一度関わると楽しいので、続けている住民が多いんですよ」

年に一度の鳥の演劇祭を中心に、通常の公演でも、スタッフが足りないと頼まれれば、すぐにかけつける足立さん。近所の住民にも声をかけて手伝いに行きます。「近所にいっぱいおんさる」と足立さんが言う心強いご近所サポーターたちが、鳥の劇場の活動を支えています。

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