アーカイブ
2018.03.09
高校演劇もっと盛り上げ事業「つくる高校生」発表公演『わが町』
高校生たちの“演劇力”を高めるべく、今年度から開始した「高校演劇もっと盛り上げ事業」。その発表公演。
前期は劇作家・演出家の松井周さんと作品を作り、鳥の演劇祭10で発表。後期は9名の参加で、アメリカの劇作家ワイルダーの名作戯曲『わが町』を上演。上演後は、今回の創作を通じて彼らが学んだことを、観客のみなさんと共有する場をもちます。
今回、高校生との共同作業にあたって『わが町』を選んだのにはいくつか理由があります。
まず一つ。戯曲に向き合う力を付けてもらいたかった。戯曲を立体化していくには、読み込む作業が必要です。「台詞があるから喋る」「ト書きに指示があるから動く」のではなく、どうしてそうするのかを想像しなければなりません。自分に近い戯曲だと、そういった想像を深くめぐらせることなしに、ある程度の形にすることが可能です。なので、あえて少し“距離”がある「古典」といわれる作品を上演しようと考えました。
そして、戯曲で語られている内容。『わが町』では主人公の成長や家族との関わりを通じて、何でもない日常の貴さや素晴らしさが語られています。これから輝かしい未来が待っている彼らだからこそ、そのことを自分たちにも通じることとして捉えてもらいたかった。またそうすることで、彼らの方が大人の俳優が演じるより、ヴィヴィッドな表現ができるのではないかと思ったのです。
参加者全員が“演じる”ことに興味を持っていたので自分たちなりの表現を見つけてもらうべく、具体的なアドバイスはなるべく出さないように心がけました。彼らの経験だけではなかなかに想像しづらいことに挑んでいるので、始終「むずかしい」という言葉を聞いていた気がします。上演後には出演した高校生たちに、今回の創作を通じて何を感じ学び取ったかを話してもらい、皆で共有する時間を設けます。演劇をしている、また興味がある高校生に多く参加してもらえればと思います。
鳥の劇場副芸術監督 齊藤頼陽
原作:ソーントン・ワイルダー 構成・演出:齊藤頼陽 出演:「つくる高校生」受講生(安部綾世 加藤日向 河上晴美 寺谷桜花 土居理梨 中野豪大 春名雪乃 藤縄耕平 松下朋花)
日時:2018年3月24日(土)16:00開演・25日(日)12:00開演
※上演後は、高校生たちが舞台で演じることをテーマにトークします。
会場 鳥の劇場(鳥取県鳥取市鹿野町 電話0857-84-3268)
チケット 大人:500円/18歳以下無料