今年度を締めくくる鳥の劇場の新作公演。社会を客観的に捉えるための道具として、演劇の新しい可能性を追求した演劇界の巨星、ブレヒトの代表作上演です。
ドイツ・ブレーメンを拠点に活動する木管トリオ、アンサンブル・ココペリによる生演奏とともにお届けします。
『三文オペラ』
原作:ブレヒト 翻訳:谷川道子
台本・演出:中島諒人 音楽演奏:アンサンブル・ココペリ
【日時】2018年2月17日(土)・18日(日)・23(金)・24(土)・25日(日) 全日14時開演
【会場】鳥の劇場(鳥取県鳥取市鹿野町 電話0857-84-3268)
【チケット】大人2,000円/18歳以下500円/中学生以下無料
※予約受付は1月10日(水)10時より開始します。
ヒトラー台頭前のドイツで格差の拡大や権力の不正を強烈に皮肉り笑い飛ばしたブレヒトの『三文オペラ』は笑える音楽劇ですが、格差が広がり権力が放縦に振る舞いつつある今の日本で、とても現在的なお芝居です。音楽は生演奏です。どんな大雪でも上演を行います。
【あらすじ】
新女王の戴冠式の近いロンドン。稀代の大悪党ドスのメッキース。
高級ホテルに出入りし、白い革手袋に、象牙のステッキの紳士だが、犯した罪は数知れず、殺人、傷害、暴行、監禁、誘拐、強姦、詐欺、放火などなど。
彼がどういう訳だか若い娘と結婚する。娘は、多くの乞食を束ね、市内に差配してその上前をはねる乞食商会の社長の一粒種。突然の犯罪者との結婚に怒った社長夫妻。
メッキースの所在を警察に通報し、逮捕、離婚、ついでに報奨金を得ようと企む。
メッキースは、警視総監とコネを持っている。犯罪者、貧困ビジネスの元締め、警視総監、さらに乞食、娼婦が入り乱れて、各々の欲望をぶつけ合う
【演出家/鳥の劇場芸術監督 中島諒人より】
タクシーの運転手さんに「今度はどんな芝居をやるんですか?」と聞かれた。
「ブレヒト」とか「三文オペラ」と答えても普通は誰も知らないので、「今の世の中、経済の格差は広がるばかりだし、大企業や政治家もインチキばっかりって感じじゃないですか。」「あぁ、そうですよねえ。」「でしょ。で、そういう世の中のことを笑い飛ばしつつ考えるようなお芝居をやるんですよ。二月です。」
というような会話をした。ブレヒトはこの戯曲を1928年にドイツで書いた。約90年前。当時のドイツと90年後の日本の状況が似ていると、私は思っている。運転手さんは、鳥の劇場のことは知ってくれていたが、まだ芝居は観たことがないらしい。中学の時に学校で観たトルストイ『戦争と平和』の芝居は、今でも心に残っていると教えてくれた。今は本当に厳しい時代だが、その厳しさが人をつないでくれることもある。「今度は行きます。」と、運転手さんは言ってくれた。うれしかった。どんな大雪でもやります。夜は道が凍るので、夜の公演はありません。
全公演午後二時からです。