剣を鍛える話 シアター・オリンピックス公演[9月5・6日]
第9回シアター・オリンピックスで「剣を鍛える話」を上演します!
富山で行われる第9回シアター・オリンピックスにて、8月末に鹿野でも上演した「剣を鍛える話」を9月5日、6日に上演します。
(撮影:韓国BeSeTo委員会)
シアター・オリンピックスとは
鈴木忠志、テオドロス・テルゾプロス、ロバート・ウィルソン、ユーリ・リュビーモフ、ハイナー・ミュラーら、世界各国で活躍する演出家・劇作家により、1994年にギリシアのアテネにおいて創設された国際的な舞台芸術の祭典。
芸術家同士の共同作業によって企画されることを特徴としていて、世界の優れた舞台芸術作品の上演のほか、次世代への教育プログラムも実施される。
1995年のギリシア(デルフォイ、アテネ、エピダウロス)を皮切りに、日本(静岡)、ロシア(モスクワ)、トルコ(イスタンブール)、韓国(ソウル)、中国(北京)、ポーランド(ヴロツワフ)、インド(ニューデリーなど)と8カ国で開催されてきたが、2つの国で共同開催されるのは今回が初めてとなる。(シアター・オリンピックスHPより)
シアター・オリンピックスでの「剣を鍛える話」公演詳細
中国の文豪・魯迅による短編小説の舞台化です。煮えたつ大なべの中で生首が歌い踊り、対決する奇っ怪なお話です。力強くも繊細な語り、キレのある動き、生演奏の太鼓の響き。ライブパフォーマンスのダイナミックな魅力を感じさせ、観る側の想像力をかき立てる鳥の劇場の代表作です。(シアター・オリンピックス公演ページはこちら)
日時
2019年9月5日(木) 20:00
2019年9月6日(金) 20:00
会場
利賀芸術公園 岩舞台(富山県)
料金
2,000円
ご予約・お問い合わせ
シアター・オリンピックス チケットオフィス
TEL;0763-68-2216 (受付時間 9:00〜18:00)
(ご予約・お問い合わせのさらなる詳細はこちら)
演出ノート
この作品は魯迅の短編小説「鋳剣」をそのまま台本として使っている。本テクストを取り上げたのには、いくつかの理由がある。一つは、この物語が、魯迅の個人的創作でなく、東アジアにおいて多くの人たちが親しんできた共有財と言えるものであること。原作は古代中国にまでさかのぼり、日本にも中国童話として伝わった。魯迅も日本留学の間に目にした。朝鮮半島にもきっと似たような話が伝わっているのだと思う。時代や国を超えた民衆の想像の産物を扱うことは、グローバル化の中で、均一化とナショナリズムという真逆のベクトルが同時進行する現代において格別な意味があるはずだ。
もう一つは政治的な課題。魯迅は、20世紀初期の中国における政治的変動の中で、社会変革に向けて個人の主体的な行動を願い、文学作品の中に様々に思いを込めた。本作も同様である。荒唐無稽な物語の中に、民衆の抵抗への期待、彼らへの鼓舞の気持ちが詰まっている。彼は同時に、しかしそれは結局無理だろうという絶望も描くのだが、本当に絶望しているのなら鼓舞などしない。絶望は、勇気ある行動への期待であり、成就が容易でないことも告げている。100年近く前から投げられたその付託に、現代の我々は応答しているか。彼からの問いは、癒えない傷のようにうずき続ける。
本上演では、あらゆる場面が、俳優の身体だけで演じられる。演劇的な力強さにあふれている。それは、観る人に身体のよろこびとして伝わるだろう。ネットやスマホの時代に、多くの人が忘れかけている人間的な愉しみである。
社会のあり方を根底から問う鋭い批判力と、体のよろこび。両方は遠いもののようだ。しかし、より良い生を願う人間的調和の中では、ともに不可欠のものだと言えないだろうか。
中島諒人
(撮影:韓国BeSeTo委員会)
出演
齊藤頼陽 中川玲奈 赤羽三郎 高橋等 中垣直久 安田茉耶 後藤詩織 大川潤子 増谷京子 山本芳郎(劇団山の手事情社)