大義名分とは何か。お國への恋慕ゆえに、その夫を闇討ちにした友之丞。お國と家来の五平は仇討ちの旅に出る。その途中で不義の仲となる二人。大義名分の陰に隠された実が暴かれ、加害者と被害者が反転するが、さて、その結末はー。谷崎潤一郎が大正11年に歌舞伎のために書き、自ら演出もした戯曲『お國と五平』。洗練された言葉と俳優のエネルギーが放つ迫力によって、人間心理の深層を、鈴木忠志が現代劇として浮き彫りにする。
プログラムディレクターより
鈴木忠志さんのSCOTは、昨年の好評を受けて今年も上演をお願いしました。忠義と恋愛の間でねじれる人間関係を描いた歌舞伎のテクストが、鈴木さんの演出により、時代を越えた人間の心の実像をグロテスクにあらわにします。力強い声の響き、彫刻のような体、呼吸の制御の巧みさなど、演じる俳優の体をスポーツをみるように楽しめるのも魅力です。世界の巨匠の舞台です。お見逃しなく。
鈴木忠志
1939年静岡県清水市生まれ。66年、別役実、斉藤郁子、蔦森皓祐らとともにSCOT(SUZUKI COMPANY OF TOGA−旧名・早稲田小劇場)を創立。76年富山県利賀村に本拠地を移し、82年より世界演劇祭「利賀フェスティバル」を毎年開催。74年、岩波ホール芸術監督、88年、水戸芸術館芸術総監督を経て、95年に静岡県舞台芸術センター芸術総監督に就任(07年、退任)。シアター・オリンピックス国際委員。演劇人の全国組織・舞台芸術財団演劇人会議理事長。 ケンブリッジ大学が出版している20世紀を主導した演出家・劇作家21人のシリーズに、アジア人としてただ一人選ばれ、すでに『The Theatre of Suzuki Tadashi』として出版されている。
●11日(土)の上演後にスペシャルトーク(詳しくはこちら)、12日(日)の上演後にアフタートークがあります
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