人口減、高齢化、経済の衰退などで、地方は現在本当に厳しい状況にあります。今、普通に暮らす人たちこそが、じっくり考え、将来のあり方について自覚的主体的に選択をしていかなければ、私たちの、そして将来世代の良き未来は失われていくのです。
今、地方にこそ出会いによる刺激と、刺激に促された思考が必要です。コロナの状況は、もともと弱っていた生活の各種基盤をさらに痛めつけました。そして私たちに立ち止まることを強いました。考え、悩む時間をくれました。人間について、社会について、生きることについて、あるいは自分の仕事の意味について、多くの人が今までの「当たり前」を疑う機会になりました。コロナによる停滞や混乱を好機と捉え、私たち自身が変わらなければなりません。
今年の鳥の演劇祭は、演劇と別分野を結合させ、毎週テーマを決め講師の方から話を聞いたりワークショップに参加しながら、そして演劇作品を観ながら、これからの社会のあり方について、地方での生活の未来について、多角的に思考する新しい交感の場を作ります。
演出家/鳥の劇場芸術監督 中島諒人