アーティストからのメッセージ

私は2014年の藝住祭で鳥取に来て、鳥の劇場と一緒に創作しました。そのとき、自分と根本的に異なる文化に浸ることは、不安定化したり疑問を湧き起こすだけでなく、好奇心や創造性を高めるという面で大きな意味を持つことを実感しました。数年後、私は舞台美術家として中島諒人氏と『友達』で（残念ながら、コロナの影響で日本には行けませんでしたが）共同作業を行いました。そして私とはかけ離れた、しかし私を強く惹きつけるこの文化との対話を追求することができたのです。鳥取に滞在し具体的な作品制作をするという今回のお誘いは、これまでの交流を転換し、具現化する機会でもあります。この滞在は、私と私に馴染みのない言語や文字との奇妙な関係を表現する一連の作品を生み出す場となるでしょう。私にとって、母国語を使うよりもゲームの対象としてとらえる方が理解しやすいのです。

今年の鳥の演劇祭のために、二種類の展示を行います。一つは私のこれまでの作品を紹介するもので、もう一つは鳥取での滞在制作中に生まれた特別なプロジェクトに関するものです。この10年間、私は文字や彫刻、インスタレーション、写真、パフォーマンスなどの形で、文字という記号を脱構築し、多くの場合はユーモアを交えながら、意味に対する疑問を投げかける作品を制作してきました。私は日本語を話すことも読むこともできませんが、この無知を利用して、日本語に新たな意味や置き換わるような意味を創造したいと思います。今回の滞在では、形式的に超越したハイブリッドなひらがなを考案するドローイング、遊び心のある俳句を含む彫刻、日本語のわからない外国人が知覚するゼロレベルの都市コミュニケーションをとらえた写真などを制作したり、詩的で奇異な道路標識を街に設置する予定です。この作品は、理解という概念に疑問を呈しながら、文化の壁、意味の壁を越えて、人間同士は理解し合えるのかを面白おかしく問いかけます。それは鳥の演劇祭のテーマである「とぶ」すなわち、より良い世界への跳躍とも通じているのです。