フィヨルドを見下ろす丘の上。妹・兄・その妻の依存の関係が、子供の事故死により大きく動く。

上演団体
鳥の劇場[鳥取]+韓国芸術総合学校(K-Arts)[韓国]
日時
9月14日(木)・15日(金)19:00
/16日(土)・17日(日)13:30 
※16日(土)・17日(日)終演後、アフタートークがあります
上演時間
120分(予定)
会場
勝谷体育館
料金
大人 2,800円*/学割 1,000円/18歳未満 500円/未就学児無料
*カフェで使用できる1ドリンクチケット付き
上演言語・字幕
日本語・韓国語上演/日本語字幕
手元字幕
日本語・英語
プログラムについて開く

多くの巨大な夢や欲望が交錯し、偏見や憎しみがあふれた現代世界。イプセン後期のこの作品は、自己実現や夢に悩まされる人々の姿を通じて、現在の私たち自身、私たちの社会を見事に描いています。日本と韓国の演劇人が、言葉の違いや過去の出来事を超えて、自分たち自身の今を見つめ、未来のより良い世界について考える上演です。

あらすじ開く

フィヨルドを見下ろす丘で裕福に暮らす三人の家族。夫アルメルス、彼を助ける美しい妻リタ、片足が不自由な息子エイヨルフ。夫は、取り組んでいた著作を仕上げるために山にこもり、そこから戻ったばかり。彼の最愛の妹アスタが訪れる。著作の完成を期待する妻と妹に彼は、それを断念し息子の教育に専念することを宣言する。唐突な方針転換に当惑する二人に、アルメルスは新しい夢について熱っぽく語る。そこに家々からネズミを引き出して殺すことを生業とするネズミ婆さんが現れる。追い払われる彼女だが、その出現がある致命的事故を引き寄せ、豊かで穏やかに見えた三人の過去、それぞれの欲望や苛立ちがあらわとなる。

出演者/スタッフ開く

作:ヘンリック・イプセン

演出:中島諒人

出演者:齊藤頼陽 山本芳郎(山の手事情社) ファン・ギュチャン キム・ドヨン イ・チャンヒョン イ・スビン

スタッフ:舞台美術・照明デザイン:ナム・ヨンジュ

演出家からの言葉開く

鳥の演劇祭での上演が初演となります。今稽古中です。現代人を悩ませ続ける「自己実現」。「自己」「私」とは?「実現」って何をどうすること?イプセンは、19世紀の終わりにこの問いに挑み、「私」が突き詰められるところで生まれる混乱や苦しみを描きました。そして芝居の最後では、極めて今日的な課題克服の可能性を示してみせます。それはいくぶん唐突に思えます。しかし現代にも十分通用する成熟した認識だと、私には思えます。

西洋で生まれた自我=エゴ。それは自由と結びつき社会や経済を発展させました。が、それが起点となるさまざまな「病」も生みました。そして世界が豊かになるとともに、東洋においても自我=エゴが引き起こす混乱や苦しみは重要で切実な課題となり、現代の私たちを実にさまざまな形で揺らし続けています。

この上演では、日本と韓国の演劇人がいっしょに作品を作ります。作品を通じて、「自己」をめぐる現代のさまざまな「病」を深く見つめ、ともに考えています。さらに東洋に伝統的にある自然や他者との共生という価値観を踏まえ、今の課題を乗り越えることについても考えています。古くから共有している思想を基盤に演劇創作することを通じて、暴力や格差、偏見、貧困があふれたこの世界の闇の中に、小さくても確かな火を灯したいと願いながら。

団体プロフィール開く

韓国芸術総合学校(K-Arts)

韓国初の国立4年制芸術大学。演劇院、美術院、映像院、音楽院など7つの学部を持ち、演劇院からは演劇・映画などの世界に多くの人材を輩出している。2018年11月に鳥の劇場と協定を締結。芸術の発展と人材養成のために、共同事業を継続的に行なっている。

助成・協力開く

2023 演劇創作プラットフォーム事業 韓日協業プロジェクト

主催:特定非営利活動法人鳥の劇場 韓国芸術総合学校(K-Arts)

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会 令和5年度 鳥取県 優れた演劇の創造・発信等による芸術振興及び地域活性化事業補助金