© bozzo
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目黑さんは舞踏家ですが、語りも上手で鳥の劇場の作品に出てもらったこともあります。このショーは落語のような楽しい語りを通じて妖怪が紹介され、その後思わぬ形で妖怪が出現します。舞踏家目黑大路の力が、この妖怪出現において発揮されます。舞踏はそもそも精神のあり方が外化したもので、妖怪も本当は目に見えるものではなく、スピリチュアルなものですから、フィットするのは当然です。見てみてください。笑えます。
作・演出・構成・振付・出演:目黑大路
死後の世界への想像力がなくなっているような気がします。死んだらそれで終わり。無のみ。スパッとして潔い考え方ではありますが、それではあまりにも寂しい感じがします。死後の世界をあれこれと想像することは、怖くもありますが、また楽しくもあります。死んだら魂は、どこへ行くのか?時間や空間に左右されなくなり、過去や未来へ行ったり、宇宙の外へと出て行ったりするのだろうか?体は焼かれ、分子レベルに解体され、大気中へと散らばっていく。地球の裏側まで、飛んで行くのだろうか?そこで全く違う物体、微生物の一部なんかになってアマゾン川をたゆたうのかもしれないなど、想像はつきません。その死後の世界の想像力の一つとして、地獄極楽があります。科学的なものの見方が優位な現代においてもなお、その存在が、忘れ去られることはありません。豊かな想像力とともに、時代や土地に関係なく我々が身につまされるもの、人間の滑稽さや本質が描かれているからだと思います。言い得て妙だと笑ってしまうことも、ごもっともと唸ってしまうことも多く描かれています。地獄極楽を絵空事としてみるのではなく、それを通じて、現代における我々の死生観を、そして時代を経ても変わらない人間を顧みることができるのではないかと思っています。観客の皆さんにとっても、この作品が、そのような機会になるのであれば幸いです。
目黑大路
元藤燁子に師事。2001~2003年、アスベスト館に入館。2003年~2010年、室伏鴻が主宰するKo&Edge Co.に参加。2016年、旅回り一座 ゑびす大黑座を立ち上げ、全国各地で巡業を行う。2018年より、学生や様々な地域の住民と、地域社会が抱える問題を題材に「舞踏ミュージカル」の創作を行っている。平成22年度 文化庁新進芸術家海外研修派遣制度研修員。