三島は、二十歳で終戦を迎えました。本作には、その日を境に大きく変貌する日本社会を、優秀な官僚・そして才気あふれる作家として生きた青年が感じた親世代への不信感が込められています。親世代を象徴する一方は古い日本。もう一つはアメリカ。そのはざまでみなに愛されつつ行くべき先を模索する彼を象徴するのが盲目の美青年・俊徳です。空襲の猛火だけが自分にとって信じられるものだと語る俊徳=三島が、後に天皇を中心とした独特の国家観を理想としたのも、本作を見るとうなずけるような気もします。
太平洋戦争の空襲による猛火のため盲目となり戦災孤児となった俊徳。
戦後15年経ち、育ての父母と実の父母が親権を争い、裁判所で調停員桜間級子のもとに会している。両夫婦は俊徳に気に入られようと言葉を尽くすが、彼は冷ややかに親たちを振り回す。桜間と二人きりとなった俊徳は、空襲の地獄を語り始める。
作:三島由紀夫
演出:中島諒人
出演:小菅紘史 高橋等 安田茉耶 齊藤頼陽 後藤詩織 中川玲奈
舞台美術:中島諒人
音響:原伸弘(オハラ企画)
照明:大迫浩二
照明オペレーション:伊中昌宏
主催:特定非営利活動法人鳥の劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会 令和6年度 鳥取県 優れた演劇の創造・発信等による芸術振興及び地域活性化事業
後援:鳥取県 鳥取市 鳥取県教育委員会 鳥取市教育委員会 NPO法人いんしゅう鹿野まちづくり協議会 鳥取大学地域学部附属芸術文化センター 新日本海新聞社 株式会社ふるさと鹿野