山の中で猟をしている紳士が二人。都会から来た二人は、おしゃれにばかり気を使い、山や自然や動物への敬意がまったくない。彼らは突然はげしい空腹に襲われ、そこに西洋料理店「山猫軒」が魔法のように出現する。不審に思う二人だが、食欲や名誉欲を巧みに刺激されつつ段々奥へ奥へと引き込まれる。
原作:宮沢賢治 演出:中島諒人
出演:齊藤頼陽 中川玲奈 高橋等 たきいみき 阿部一徳
都市から来たファッショナブルでごう慢な二人の狩人。彼らに対置される山の木々や風、そして山猫。彼らを対比的にどう表現するか。魔術はどうかけられ、西洋料理店のヴィジョンはどのように展開されるのか。あれこれ考えるのはとても楽しい。でも、忘れてはいけない。大正時代は自然破壊がリアルに進行した時代。人が自然への敬意を失い、強欲が露出し始めた時代。現代が始まったタイミングと言えるかもしれない。リアルな寓話であるこの物語の最後、二人の紳士は、人間に忠実な犬によって救われる。でも恐怖により「紙くずのようになった」顔は二度と元に戻らない。この消えない刻印の意味を我々は考えなければいけない。
中島諒人
協力:有限会社気高木工製作所 鹿野古材 yaraina
助成:令和8年度鳥取市文化芸術活動支援補助金(鳥の劇場20周年及び鳥の演劇祭19開催事業)