©Christophe Raynaud de Lage
©Christophe Raynaud de Lage
ディディエさんはフランスで活躍する演出家、俳優です。鳥の劇場とももう長い付き合いになります。
「アフメド」とは1990年代にフランスで生まれた演劇のキャラクターです。仮面をつけている彼の姿には、フランスの古典喜劇に登場する有名なキャラクター「アルルカン」の面影を見ることができます。アフメドはかつてのアルルカンのように、大衆の代表として権力者や社会の矛盾をユーモアと機転で鋭くつきます。世界が困難になっている今、アフメドは再び語りはじめます。
この作品にオリジナル楽曲を提供する音楽家、野村誠とのコラボレーションも見どころです。
アフメドというキャラクターが現代社会をユーモアと音楽で包んで語るお話です。アフメドは移民をモチーフにしたキャラクターで、仮面をつけて演じられます。しかし、そのキャラクターは特定の誰か、特定の民族をあらわしてはいません。誰でもあり、誰でもない、普遍的な誰かなのです。様々な楽器と歌のライブパフォーマンス、多様な音楽が作品をいろどり、多言語で演じられるこの作品の奥に流れるのは「人種差別に対する哲学的な問い」なのです。
原作:アラン・バデュウ
構成・上演台本・演出・出演:ディディエ・ガラス
音楽・演奏:野村誠
舞台監督:吉村聡浩
照明:井村奈美
演出助手:岡田眞太郎
制作:杉山準
日本は、より多くの外国人労働者を受け入れる必要にせまられている国です。この状況の先に見えるのは、人種差別が煽られ、現実の社会問題となっていく姿です。
この作品の主要なテーマは、もはや言葉と演技だけで伝えられることではありません。言葉や演技を超える音楽の力によって増幅されるのです。笑いを届ける儀式的な演劇であるこの作品は、明らかに詩的な要素である音楽によって揺さぶられるのです。
そこには、現代の世界共通言語なるものの創造や、多様な音楽、歌、怒り、笑いが織り交ぜられているのです。
Didir Galas / ディディエ・ガラス (フランス)
パリのコンセルバトワールにおいて、クロード・レジ、マリオ・ゴンザレス、ベルナール・ドートらに師事する。1990年代日本と中国で能と京劇を学ぶ。2000年にアヴィニヨン演劇祭において“Monnaie de singes” (英題“Funny Money”邦題「猿芝居」)を発表。2001年“Le petit (H)arlequin” ( 邦題「小さなアルルカン」) そしてその作品の日本語バージョン(2010年)を発表。2014年9月には日本の俳優・ダンサー・音楽家と共に「ことばのはじまり(英題 “The Invention of the Word”) )を創作し日本で発表した。
野村誠(のむらまこと)
共同作曲など領域を越境して作曲する。ピアノ、鍵盤ハーモニカを得意とするが、ウイスキーボトルや瓦など、あらゆる物を奏でる。第1回アサヒビール芸術賞など受賞。作品に、ガムラン《踊れ!ベートーヴェン》(1996)、ヴァイオリンと映像のための《だじゃれは言いません》(2013)、荒井良二展のための《new born sounds》(2023)など。舞台音楽に、佐久間新《だんだんたんぼに夜明かしカエル》(2019)、きたまり《棲家》(2022)など。
助成:笹川日仏財団